市場とのコミュニケーション力を磨け #2
『売る側の人』は、これまで、ずっと、
『池には、魚がたくさんいることが当たり前』
だと思ってきました。
そして、それは決して間違いではなく、確かに、
『池にはたくさんの魚』
がいました。
だから、エサをまけば、常に食いつく可能性があり、問題は、
『どんなエサをまくか』
あるいは、
『今、魚は、何をほしがっているか』
を考えることに集中してきたんです。
そして、新しくできた大きくて魅力的な池にも確かにたくさんの魚がいました。
だから、『売る側の人』は、今まで通り、エサを投げ込んでみました。
間もなく、彼らは、今まで経験したことのない事態に遭遇します。
魚たちは、食べるどころか逃げ出してしまいます。
逃げるだけならまだしも、中には、『売る側の人』を非難する魚まで現れました。
悪い噂を聞きつけた魚は、エサに近寄ることすらしなくなり、やがて、『売る側の人』の周りには魚が寄りつかなくなりました。
エサをまき始めてほんの数分で起きてしまった驚くような出来事に、『売る側の人』は呆然となりました。
と、こんなお話を前回のコラムで書いてみました。
こんにちは。
チームデルタの谷口です。
この話の続きは、少しの間置いといて、最近、少し気になることを書いてみます。
ここ1年の間に、ドン引きな名刺とサイトが増えたような気がしているんです。
名刺。
一枚の小さな紙切れではありますが、こと『表現』とか『イメージ』という意味においては重要なツールですよね。
そんな中、いただいて、一目でドン引きしてしまう名刺が増えてきたような気がするのは僕だけでしょうか。
名刺がイメージ戦略のツールであることを僕は知っていますし、その効果も理解しているつもりです。
でも、こんな名刺をいただくと、やっぱり、ちょっと(どころか)引いてしまいます。
・ぎとぎとに目立つキャッチコピー
・めちゃくちゃな色使い
・入り乱れる多くの書体
・ぎゅうぎゅうに詰め込まれた文字たち
見栄えがいいとか悪いとか、品があるとかないとか、そんなのはいいんです、別に。
僕が一番気になるのは、この名刺を持ち歩く人の気持ちです。
名刺を渡すという行為は、
・読んでほしい
・理解してほしい。
・そして、自分をこれらの情報とともに覚えてほしい
・何かのときには、思い出してほしい
という意志を相手に伝えること。
だとすれば、これだけ
・整理されず
・自分勝手な内容を
・小さな紙片に詰め込むだけ詰め込んだ
情報を、相手に対して、
・読んでほしい
・知って欲しい
・理解してほしい
って思うのは、あまりに自分勝手ではないですかね?
少なくとも、僕は、この手の名刺を渡されると、こんなふうに考えてしまうんです。
『この人は、客である僕の話を聞いてくれるんだろうか?』
と。
だって、自分のことを伝えるのにこれだけ一生懸命な人が、人の話を十分に理解する姿勢を持ち得るんだろうかって思っても不思議じゃないですよね。
今年1年間、僕のセミナーや講演では、
・市場との対話力
・『宣伝』と『対話』
を大きなテーマとして扱っていきたいと思っています。
Web戦略の要は、今後、『広告』と『PR』と『市場とのコミュニケーション』の理解だと思っているからなんですが、『顧客が抱える本質的な課題・問題の解決』をビジネスの基本に据える僕にとって、
『自分のことばっかりしゃべりたがる人(会社)』
って、どうよ??
なんです。
だから、先ほど書いたような名刺をわざわざ作って平気で渡す人(会社)を僕はあまり受け入れる気になりません。
こういう企業は、
・Webサイト
・パンフレットなどの紙媒体
も同じ考えで作ることが多いようです。
自分の言いたいことばかりを掲載しているから、僕らが求める情報なんてまず無いんです。
だって、訪問者、見込み客、そして市場を知ろうとする気持ちがないんですから、ミスマッチが起きるのは当たり前。
顧客の利益に貢献しようとする姿勢があるなら、あんな、
・見づらい
・読みづらい
・こちらにとってはどうでもいいような宣伝
ばっかりの名刺ができるはずないと思うんです。
『エサをまいたら魚に逃げられてしまった』どこかの『売る側の人』とも何かしら共通するものを感じます。
エサに食いつくと思っていた人と、ドン引き名刺を渡す人。
自分の立場でばかり考えていても解決策が見えないことも共通してます(笑)。
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