言葉を駆使して言葉を封印せよ
ある自治体が配信する経済・産業情報メルマガに6回にわたって連載中のコラムからの転載です。
題して、『不況の今だからこそ:信頼構築の勘所』。
こんにちは。
チームデルタの谷口です。
だから、文体、いつもより固いですから(笑)。
ついでに、『今日した いいこと』も、ありません(笑)。
隔週で日曜日に掲載しています。
本日は、その第2回目。
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■Vol.2 言葉を駆使して言葉を封印せよ
実は、人の感情を左右するほど力を持った情報には、ある種のメカニズムがあるんです。
ご存知でした?
興味を喚起するプロセスで大切なのは、当事者が能動的にイメージしやすくなる『動機付け』を提供することです。
脳を活発に働かせるためのスイッチのようなイメージでしょうか。
ちょっと例を挙げてみましょうか。
A. みなさんは、どの”さんま”が好きですか?
1.さんま
2.サンマ
3.秋刀魚
季節感をより伝えるのは、3でしょうか?
では、もう1つ。
B. ~の部分に上記で選んだ好きな”さんま”をあてはめてみてください
1.~のたたき
2.~の炙り
3.~の燻製
自分の好みが少しづつ明確になってきますね。
ではもう少し情報を追加して、
C. ~の部分に、AとBで選んだ文言をあてはめて読んでみてください。
1.~に炊立てのごはんとおろし大根を添えて
2.~を冷たーいビールでぐい~っと一杯
3.~をねこと一緒に
僕なら、A:3 + B:2 + C:2 ですね。
”秋刀魚の炙りを冷たいビールでぐい~っと一杯”
さんま好きの人なら、こんな小さな言葉遊びをしている間にも、「さんま、食べたい!」と感じるんではないでしょうか。
でも、ここには、シズル感たっぷりの映像も、焼け焦げるにおいもありません。
ただ、白い画面に黒い文字があるだけです。
でも、読むだけでいろいろイメージしたでしょう?
実は、これが何より大事。
これらテキストには感情を左右するための「動機づけ」が隠されているんです。
あなたは3つの質問と選択肢によって「自分が一番おいしい」
と感じる”さんまのイメージ”を思い浮かべませんでしたか?
与えられるのではなく、自ら進んで。
もう、あなたの中には、「おいしいさんま」のイメージができてるはずです。
お気づきですか?
3つの質問にも、選択肢にも、「おいしい」あるいはその類似語は1度も使っていません。
でも、あなたに、「おいしいさんま」をイメージしてもらうきっかけを作り出すことができたのではないでしょうか。
楽天には多くのショップがある中、各カテゴリで断トツに売れてる店があります。
ご存知のように楽天のプラットフォームは共通です。
すなわち、見栄えや機能でアドバンテージを取るのは難しいわけです。
では、この差はなぜ生まれるのでしょうか?
購入者の安心感/信頼感を得るための仕組みや工夫、努力による差もあることでしょう。
ホームページに載せられた絵や写真(例えば、さんま)は、言ってみれば絵空事。
食べてみなければ味の差はわかりませんし、店への信頼感が醸成されるのはむしろ購買後のことです。
だとすれば、人は何を頼りに選別するのでしょうか。
初めての購入者に対して決定的な差を生む原動力は、実はテキストです。
すなわち、文章力=情報力の差。
ほんとうに「おいしい」ならば、「おいしい」はいりません。
人に「おいしそう」と感じさせるために必要なのは、
「おいしそうだとイメージさせるきっかけを作る」
「なぜ、おいしいのかを想像させる」
ことなんです。
興味を喚起するために最も大切なのは、当事者が能動的にイメージしやすくなる『動機付け』を提供することなんです。
「おいしい」レストランに、「おいしい」は不要です。
むしろ、禁句です。
・「なるほど、おいしそう」と思ってもらえる理由
・「おいしい」を裏付けるエピソード
こそ必要なんですね。
同じように、
「こだわりがある」
「品質がいい」
「他社とは違う」
ことを伝えたいならば、これらの言葉を封印すべきです。
これらの言葉を使うことなく、
「こだわりがある」
「品質がいい」
「他社とは違う」
を伝えるためにどんな情報が必要かということをイメージしてください。
それが、最も確実に
「選ばれる理由」を「裏づける」
ことになり、ひいては、信頼感を与え共感を得る”引き金になるのではないでしょうか。
「人に何かを伝える」って、なかなか深いでしょう?
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