『少なく生きる』
僕が建築家 前田紀貞氏に僕の空間の設計を依頼するときに提示したリクエストは、唯一つ。
「外に閉じて、内に開いたワンルーム」
でした。
そして、彼は、その空間に、”DEVICE#9”と名づけました。
こんにちは。
チームデルタの谷口です。
24時間、可能な限り、クリエイティブな空間で、自身の多くの時間を任せるに足る空間が放つ情熱を体に感じながら生きていきたい。
厳しく選択された優秀なモノが発するエネルギーに触発されながら生きていきたい。
そんなシンプルな思いが、その頃の僕の周りにはたくさん反映されていました。
少々尖ったスタンスで時間に向かっていたと思います。
空間からモノを無くす、あるいは少なくする方法は簡単です。
必要なものとそうでないものを選別するスキルを持つことと、時の洗礼に耐えうるモノを選ぶこと。
『いいモノ感』を人に与えるモノ、大切にしたいと人に思わせるモノというのは、総じて正確であり、かつエッジが美しい。
そして、何より、モノに息づく作り手の明確な意思を感じとることができます。
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サイト構築における、
ターゲット
戦略
が定められるプロセスで、僕らのチームはたくさんの時間が費やし、取捨選択し、余分な肉を削ぎ落とし、洗練させ、1点に収束させます。
そのすべての成果が、『デザイン』だけに反映され、多くの人が目にするところとなるわけです。
目に届くのは、完成までに費やされた時間でも、努力でもなく、結果だけです。
そこに込められた戦略など、見る人が知る由もなく、個々人の持つセンスの中で自由に咀嚼され、Yes/No、好き/嫌い 良い/悪いという、ほとんど2進数に近い次元で処理され、受け入れられ、あるいは切り捨てられます。
提供者の宿命ですね。
見る側に立ってイメージしてみてください。
すべてのデザインがあなたの強い味方として、巧みに、かつ饒舌に語ってくれるわけではありません。
こちらの思いを額面通りに受け入れてくれるとは限らないのです。
戦略というものは、ことWebに関して言えば、一人でも多くの人に、一貫性を持って、シンプルに、そして色濃く洗練させた「形」で伝えようとする努力においてのみ実現可能になります。
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